IRON and STEEL鉄を知る
鉄の起源
138億年前。
宇宙は「ビッグバン」と呼ばれる大爆発で生まれたと言われています。
物質が何も無いところから、
原子を構成する陽子、中性子、電子、電磁波などが飛び回る混沌とした世界を経て
38万年あまりが経過、宇宙が晴れ上がります。
やがて物質の揺らぎ「ダークマター」に水素・ヘリウムが集まり
ガス雲となり、恒星をつくったと考えられています。
原子同士が押し付けられエネルギーが発生、
「核融合」(熱核反応)により次々と元素が生み出されました。
質量を増しながら安定な元素に近づき、ニッケルまで進んだのち、
原子核崩壊で「鉄」が生成されました。
第1世代の終焉を迎えます。
星の誕生・消滅を繰り返すと元素は「Fe」に収斂されるため、
太陽系のFeの存在量は特異的です。
地球では総量のおよそ3分の1を占めています。
46億年前 地球誕生時、地表の鉄分が酸性雨により海に流れ、
酸化鉄として堆積。「鉄鉱床」が形成されました。
15億年ほど前、海底の隆起によって表層に現れ、「鉱山」ができ上がります。
こうしてできた鉄は、人類文明にとって不可欠な素材であり
生物を進化させてきました。
鉄鋼業界の歴史
中国大陸や朝鮮半島では、
塊状の鉄鉱石が豊富に採れたことから製鉄法が普及した一方で、
日本では塊鉱石が乏しく、
砂鉄を利用する「たたら製鉄」が開発され、普及しました。
近世になって、欧州では産業革命が起こり、
イギリスやドイツの製鋼技術が世界をリード。
19世紀後半になると、五大湖地方で鉄鉱石が発見され
世界の鉄鋼業リーダーは米国に移り始めます。
つくられた鋼材は、鉄道・鉄橋、船、大型建築物、後に自動車などに
大量消費されました。
日本では1894年に初のコークスによる「銑鉄製造」が成功。
列強諸国の脅威が高まる中、
その危機感を解消するために官営製鉄所の建設を計画します。
1901年2月、
日本最初の大型160t高炉に歴史的な火入れをして、
「官営八幡製鉄所」は操業を開始。(現在の「日本製鉄 八幡製鉄所」の前身)
第一次世界大戦を経て、日本の工業水準が大いに高まると
量的・質的に鉄鋼の自給自足が強く望まれるようになり
民間の製鉄会社として「日本製鐵株式会社」が発足。
財閥の解体などの歩みを経て、
高度成長時代の「リーディング・インダストリー」として中枢をなし、
「ものづくり大国」として日本を押し上げるまでに至りました。
鉄鋼製品ができるまで
地球上の鉄の可採埋蔵量は他金属に比べ桁違いに多く、
現代でも地表のごくわずかな鉄を利用しているにすぎません。
現代の製鉄・製鋼法には、欠かせない3つの炉があり
「高炉」・「転炉」・「電炉」
それぞれの役割で、鉄鋼製品の製造に関わっています。
- 高炉:
- 鉄鉱石から銑鉄を取り出すための炉。
銑鉄は炭素などの不純物を多く含み、硬くてもろい。
製鋼・製鉄所のシンボル的な存在。
- 転炉:
- 銑鉄に含まれる炭素を取り除く、もしくは不純物を除去するための炉。
不純物を取り除くと鋼となる。
- 電炉:
- 鉄スクラップを資源として有効化。
鉄鋼を製造する具体的な工程は、製銑以外は高炉とあまり変わらない。
できた鉄鋼製品はさまざまな形に姿を変え、私たちのくらしを支えています。